2002年01月11日
■ OHTO社「ニードルポイント」のリファイン提案

今回はステーショナリープログラム読者の皆さまから高い評価を得ている「OHTO(オート)社」の極細油性ボールペン「ニードルポイント」について取り上げ、本製品に関する私見を述べたいと思います。

■ 製品について

「ニードルポイント」はOHTOが開発した極細のペン先を持つ油性ボールペンです。
当サイトでは1999年11月の記事でご紹介しております。独特のペン先と滑らかなインクがもたらす軽い書き心地は、油性ボールペンの良さを最大限に引きだした製品と言えます。私は宅配便複写伝票の筆記に愛用。スリムなペン先は筆圧を無駄なく複写用紙に伝え、鮮明な筆跡を残します。

■ 気になるところ

ニードルポイントには普及版から高額モデルまで数多くのラインアップがあり、私も数種類使っております。この製品、ペン先が素晴らしいだけにペン先以外の点でついつい気になってしまう所もあります。開発陣には申し訳ないのですが、以下に個人的な思いをちょっと書いてみました。本日の題材はニードルポイントのモデル「SP-107NP(\100)」です。

Ball Point Pen

"NEEDLE-POINT #SP-107NP"

OHTO / JAPAN

(写真の製品は一部改造を施してあります)

「SP-107NP」はニードルポイントの普及版です。普及版とはいえグリップにはラバー素材も装備されています。ノック式など複雑な機構を持たないシンプルな作りは、特徴あるペン先をストレートに味わうことができるはずです。

ところが本製品はボディの作りに起因し、ペン先の良さを引き出せない面を感じます。それはペン先の「遊び」です。下図をご覧ください。本品の樹脂製替芯は口金とエンドキャップの2点で軸に保持されています。その口金側は替芯が前後方向に移動できるようになっています。ここまでは普通のボールペンとほぼ同じ構造。問題は軸内部の空間が大きすぎて、筆圧によって中の替芯が大きく変形(湾曲)してしまうことです。

ペンの向きに応じて、替芯が湾曲する向きが規則性を持って変化するので、筆圧によりペン先が口金を支点として回転方向に傾いていることが推測されます。もしかしたらこの「遊び」は細いペン先を守るための意識的な構造なのかもしれませんが、複写伝票のような柔らかい用紙複数枚の上で筆記する時はペン先が筆記する人の意識と違うほうへ「逃げてゆく」感じがしてあまり好ましくありません。

一般的なボールペンはともかく、ニードルポイントならではの繊細な筆記感を味わう場合に、この作りは少々マイナス要因になると思います。

写真左:

筆圧で替芯が湾曲

写真右:

替芯をビス2本で固定。→

この「遊び」を少なくするとどのくらい筆記感に変化が出るか試してみたくなりました。行き着いた方法は写真のとおり、軸に穴を開けて2本のビスで替芯を完全に固定する方法です。替芯の湾曲の度合いが大きいグリップ上部あたりで固定しました。

この改造で個人的には良好な結果が得られました。紙の上にペン先を置いた瞬間からペン先の感覚が鋭敏に手指に伝わります。ペン先のしっかり感が増し、複写伝票に書いてもペン先が逃げてゆく感覚は減少しました。

OHTOの開発陣はなにかの理由でペン先を遊ばせたのか、それとも意識していないのか、定かではありません。実際、筆記具の種類によってはガチガチに固定しないほうが良好な結果を招く場合もあるので、なんでも固定してよいというわけでもありません。今回のニードルポイントでは私としては固定を望みたいほうでした。本件についてOHTOさんのコメントをいただけたらうれしいなあ。。

さて、今回の筆記具改造はいかがでしたでしょうか?え、フランケンシュタインみたいで可愛そうですか?やっぱりそう思います?/筆記具に改造を施してリファインしている方って居ないわけではないようです。先日信頼文具舗のお客様から釣り用の鉛のオモリをペン内部に入れて重量バランスを変えているというお話をいただきました。筆記具こそ、製品化の最終段階が大切なのかもしれません。/たとえば、自分で重量バランスを変えられる機構を備えた筆記具とか登場したら役立つかもしれません。