2005年12月07日
■ ラミー バルーン
ステーショナリープログラム・英国支局の
「ぴこりん」さんよりお送りいただきました。
シースルーのブルーが美しいローラーボール「バルーン(balloon)」です。
LAMY balloon

トランスルーセントの樹脂。少し濃いめのブルーに純白のクリップが映える「バルーン」

LAMYのロゴはサファリのような深いエンボス(凹凸)加工はされておらず、白のペイントが施されています。

studio、dialog 1 などハイグレード・ラインの展開を続けているラミーは、いっぽうで tipo-PLやvivo(日本名エナジー)のような普及モデルも精力的に発表しております。今回ぴこりんさんにお送りいただいたballoonは後者、普及モデルのカテゴリーに入る製品です。
グリップ部分はsafariやAL-starを連想させる形状。しかしグリップ最先端からペン先までの距離は、例えばAL-starボールペンよりも8mm近くも短い。これはローラーボールにとってメリットがある。グリップ先端〜ペン先間の距離を短くすることで、使い手が知らず知らずのうちにペンを立ち気味の角度にして筆記するため、結果ローラーボールが滑らかに筆記できる許容角度範囲に収まるというわけ。

写真の製品はローラーボール。この記事の執筆時点では本家LAMYサイトもローラーボールのみが掲載されていました。使用するリフィルは「T11」。下の写真のとおり、万年筆インクカートリッジ様の外観で、その先端にコーン型のローラーボールチップが備わっているもの。ペリカン grand prix のそれと似たタイプです。

ブルーのボディとコントラストを成す白いクリップは近づいて見ますとチープな雰囲気の素材。この素材は柔らかいもので、クリップ自身がクニャリと反ってポケットにささります。

キャップの勘合やねじ山など、各部樹脂部品の振る舞いはラミーならではの安心できるもの。ラミーでは当たり前のことですが、これはやっぱり凄いと思います。ラバーやソフト塗装の無いボディもうれしい。

白い本体のT11リフィル

M66リフィルのごとく潤沢なインク湧出量と、自然と立ち気味になる筆記角度との相乗効果で書き味はなめらか。ペン先はボール・チップともに金属製。リフィルの型番がラミーのローラーボールに多い「M」ではなく、万年筆インクカートリッジのような「T」であるところが興味深い。

全体にローコストが徹底されているなかで注目したいのは、部品の色彩が「ブルー」「ホワイト」、そして一部に「ブラック」、この三色にきっちり絞られている点です。つまり、外観から見えるクリップ・クリップを内部で固定する部材・リフィルそのもの・リフィルを内部でおさえる部材、これらすべてが純白で統一されているため「ホワイト&ブルー」が美しく演出されているのです。
以上、見習う点が多いという意味でほめ気味になってしまいましたが、頭を冷やして見直しますとクリップの素材やカタチは個人的には納得がゆかないですし、ラミーの白いロゴのクオリティも若干低めで、工業デザインのレベルがいままでのラミーらしくないなあ、というのが正直な気持ちです。(もっとも、目的を持って限られた予算枠で作ったであろう製品を取り上げてそんなことを言うのは酷かも知れませんけれど。)

でもこの製品、日本国内で(地域限定とかではなく)広く販売されてほしいです。キャップ式の、しかもなめらかなローラーボールを待ち望んでいる人はいっぱいおりますし、すっきりと美しいブルーのボディは確実にラミーファンを増やしてくれることでしょう。同じT11リフィルを採用したAL-star版の登場も将来期待したいところです。

(ぴこりんさん、ありがとうございました。)
LT11の筆記結果について補足します。インクの湧出量は多めでローラーボールとしては滑らかな書き味の部類に入りますが、筆記時のペンの角度が鉛直(まったくの垂直)ですとインクが追従しませんでした。角度を問わず追従するLM66に較べると筆記には気を使うところがありました。これが個体差であるのか、今後改良されるのかは未知です。

2006年1月7日