2002年07月14日
■ ISOT 2002 

東京ビッグサイトで7/11〜13に開催された
ISOT(国際文具・紙製品・事務機器展)に行ってまいりました。

7/11と7/13に見てまわりました、各ブースの印象を簡単にまとめます。
基本的に業界のかた向けで非公開の展示会を勝手にご紹介するものですから、
ここではテキストのみでお伝えします。
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当サイトまでお送りください。すぐに対応いたします。

全体の印象:

一昨年あたりは(特に大手について)派手な演出の割には不満を感じたのが、昨年、そして今回
になって、各ブースとも来場者にきめ細やかに対応する傾向が出始め、気持ちの良いISOTに
なってきているようです。展示カウンターを低くしたり、出展説明者と来場者との距離を短く
するレイアウトが散見され、自社の製品を丁寧に紹介する工夫が目立ちました。

中規模&小規模ブースでもプレゼンテーションの質の向上が目立っています。その企業の一番
得意な製品を、わかりやすく見せることに成功している所が多かったようです。

海外関連では、今年も中国や韓国その他各国の企業が多く出展し、今年はいままで以上に
取り扱い品種の幅が出てきたことがよくわかりました。残念なのは、そのブースが目的とする
取引内容、基準とする取引の規模などが実際に深く話し込まないとわからないことです。
海外ブースに顔を突っ込むだけでもちょいと勇気が要るのに、必死に会話して結局は数百万
以上の取引しかしない、紹介する仲介業者も無いという事がわかるとがっかり。
どこも皆さんとても親切だっただけに、何か良い対策はないものでしょうか。短いISOTの
期間(話し込むと本当に1日なんかあっという間です。)で沢山のところを回りたい思いも
あるので、特に海外ブースにおいては正面に要約ガイダンスを1枚掲示するなどの工夫を
主催者側が指導したら、出展者/来訪者双方に大きなメリットが有るように思えました。

各ブースについて:

では、全部は見られませんでしたが、見た中で印象に残ったところをお伝えします。

クオバディス・ジャパン

ステーショナリープログラム読者様の多くが関心を寄せるクオバディス・ジャパン様です。

QUOVADIS,CLAIREFONTAINE,RHODIA,G.LALOの各製品。今年はブースを拡張しての展示。

まず、QUOVADISのダイアリー。
お馴染みのページレイアウトはそのままに、来年も充実したモデル展開が予想されます。
各モデルではカラーバリエーションの出入りやカバー種の追加など微妙な変化があります。

そういえば、とかくそのモデルシリーズの選択に気をとられがちなQUOVADISですが
ショップにおいては色で魅せる手法を重視しても楽しいかもしれません。
お店ごとに相応しいカラー・トーンを選び、お客様にプレゼンテーションを。
モデル選択と合わせ、色を使って立体的・積極的な展開が可能なのがQUOVADISの良さでしょう。

目新しいところでは、マットとツヤありの2種類の表面処理を柔らかなアーチラインで
つないだ「COMBI」という名のカバー(合皮)が登場。大人に相応しい雰囲気に仕上がって
いるので、服飾系のショップにそっと置いてあっても素敵そうな感じです。
そのお店が手帳シーズンに、大切なお客様にプレゼントしてもよろこばれそうです。

RHODIAでは噂の「ロディア・アドバンスドシリーズ」が披露されていました。
わたしとしてはRHODIAのマイナーチェンジかと思っていたのが、予想とは大違い。
なんとワイヤーバウンドノート(=リングノート)とマウスパッド(!)だったのです。
まもなく発売開始されるとのことなので詳細は割愛しますが、マウスパッドはパソコンに
占領されたデスクトップでもRHODIAと一緒にいられる楽しい製品。このパッドにメモを
書き1枚ずつはがせ、しかもマウスを持つ手に邪魔をしない工夫もされている製品です。

CLAIREFONTAINEでは、プリンタで印字できる丸いメッセージカードを中心にした
「Pollen」(ポレン)というカード&封筒シリーズが美しく紹介されていました。
このPollenについては別途機会を作ってお伝えいたしたいと思います。

 

ステッドラー日本

製図・デザインを中心としたドイツの有名ブランド「STAEDTLER」。
今年はスタイリッシュなデザインのブースを設けておりました。

とにかく印象的だったのは三角形断面の色鉛筆「STAEDTLER ERGO SOFT」です。
太軸でカド丸の三角形、表面は柔らかな特殊塗装仕上げ。そしてこれを収容するケースが
STAEDTLERのコーポレートカラーであるブルー。さらにシースルーの樹脂素材。
このケースは鉛筆を立てるスタンドにもなり、とても美しい出来栄えです。
日本では発表されたばかり。年末に向けて販売が開始されるようです。ヒットの予感。

 

カール事務器株式会社

低い広いカウンターに見やすく製品が展示されています。手をのばしすぐに試せるうれしさ。
いよいよこういうモノが登場するのですね!→電動2穴パンチ「NX-1001」(9月21日発売)
電池駆動可能、小型でスタンドアップタイプのスタイリッシュなパンチ。
本体の上端に用紙をそっと入れると、静かな動作音でいつのまにかキレイに穴があいている。
今までのように用紙のセンターを下からのぞき込んでパンチする必要もなく、スマートです。

その製品だけでもびっくりしたのに、「NX-1001」を案内していただいた担当のかた。
私に一生懸命使い方を教えてくださるのです。私はその製品に感激して担当のかたに何回も
用紙を出し入れしてもらったり、すっかり楽しんでから、、、名刺交換しましょう。

「社長です。」(名刺に「代表取締役 森 誠 」の文字)

ははーっ。私は思わずあとずさり、まさに水戸黄門状態。
社長、それ、わざとでしょう!(ご紳士。とても素敵な社長様でした。)

 

パイロット

さらに進化、ANOTOテクノロジーの展示。すでに欧州では製品化されているそうです。
エリクソンの名前がはいったアノト・ペン本体を実際に使わせてもらいました。
細かいドットが印刷された用紙に文字を書くと、そのままそれがパソコンに転送。
小さいペンなのに、筆跡と筆圧の記憶(膨大なデータ量のはず)、OCR機能も
内蔵されているとのこと。筆圧をリアルタイムに記録するので、紙の上はボールペンで書いた
のに、パソコン上ではまるで万年筆で書いたかのような筆跡で表示されるなど、これを
見ただけでもアノトの可能性は大きそうです。

 

コクヨ

WiLL STATIONERY ACTICシリーズに興味津々。とくに目当てはキャリーメモ
実物を見るとRHODIAとまったく違う製品。下側から被ったカバーはポケットに
出し入れしやすい良いアイディアだと思います。
キャリーメモにはA3という特大サイズが用意されているところがポイント。
5mm方眼でA3サイズ、表紙カバー付き。デザイナーさんとかに重宝かもしれません。

面白かったのは、担当のかたが「このキャリーメモ、ミシン目できれいに切れるのです」
と言って実演したら、途中から紙が斜めにビリリリ、、、(汗)
いやいや大丈夫、RHODIAでもキレイに切るのにはけっこう気をつかいますから。。

 

三菱鉛筆

安価なペンも、その良さをしっかり伝えたいという思いがブースの作りに現れています。
どこでも書ける人気の加圧式ボールペン、パワータンクの普及価格モデルが登場。
赤インクは赤、青インクは青、透明替芯のインクが鮮やかな色で見える(ふつうは赤インク
でも黒ずんで見えるでしょ)油性ボールペンなど、こまやかなアイディアの製品が多かったです。

 

オート

私が替芯がしなるとか指摘していたら、じつはちゃんと用意していたのですね。
丈夫な太軸替芯を採用した普及価格ニードルポイント「パフ」。しかもノック式。
この替芯の変化でタッチは劇的に向上。うれしいです。
こんなに良くなって値段は100円。うれしいような、心配しちゃうような。
これだけの基本能力が備わったニードルポイントですから、こんどはじっくり腰をすえて
質感重視の、イメージリーダー的モデルを出していただきたいところです。

 

ミドリ

ISOTと言えば毎年期待しているのがミドリのブースです。なにしろ、気持ちのよい担当者の
対応と、来訪者への密着説明型スタイルを作り上げたところですから。

今年はなんと四角い白テント(!)に囲まれたようなブース。中に入らないとわからない!!

中に入りますと、ミドリの製品群が「展示」されているのではなく、「ただ並べて置いてある」
といった状態。とにかく手にとって、いじってみて実感できるようになっております。

もしその製品が気に入って目線を上にすると、そこには笑顔の担当者。すぐに製品についての
会話ができるセッティングです。あーうまいなあ。

白テントの外側には、周囲にぐるりと低く小さいショーケースが整然と並んでいます。
来訪者がわざわざ腰をかがめてのぞき込まないと中が見えない感じ。でもそのケースひとつひとつ
に製品のテーマを大切にしたディスプレイが仕込まれております。興味のある人だけが自主的に
のぞき込んで楽しめる、逆に言えば、のぞき込まないと楽しめない仕組みです。

メイン展示はミドリを知らないような人にもわかりやすく、ミドリマニアのためには敢えて
見づらい工夫(笑)をして満足させる、、、そんな「押し」と「引き」の組み合わせが巧妙で
あまりのコンセプトの高度さに脱帽です。

 

まとめ

お金を掛けることがすべてではない、やっぱり人と知恵、そんな思いをさらに強くする今年の
ISOTでした。それと、前述しましたが、こんな時代なのに海外企業ブースが出展数のわりには
閑散とした印象で、このままでは海外勢がISOTから離れてしまうのではないかという心配が
あります。このへんを主催者がよりいっそうフォローしたらISOTに厚みがでそうです。

毎年行ってわかってくるのは、展示そのものだけではなく、人との出会いが楽しみになって
ゆくということです。企業ブースが個別に商談室を設けているものの、それとは関係の無い
会話を目的に集まっている人も多いはずです。閉場後にも気持ち良く歓談ができるような席、
ちょっとした飲食場所などを増やしていただけたらうれしいなあ。

大口のお客様も大切でしょうけれど、出展者・来場者の多様性を認める考え方が今後の発展
につながるような気がします。いかがでしょう。