2006年6月25日
■ ペンショップ・オーテ
ステーショナリープログラム・コントリビューターのおひとりで
私の親友、氷川剛様にご紹介をいただき
愛知県豊橋市の「ペンショップ・オーテ」さんを訪ねてまいりました。
写真は「ペンショップ・オーテ」の建屋。1階の右側がお店の入口。万年筆型の可愛い看板が私たちを出迎えてくれます。

現在の「オーテ」は万年筆・筆記具・文房具のお店です。でも、その前身は国産万年筆製造の草分けである「吉野製作所」。創業が大正8年(1919年)ということで、並木製作所(現パイロット)創業の翌年、中屋製作所(現プラチナ)創業と同年ではないかと思われます。最盛期には1日で100本の万年筆を納品したと言いますから、当時の日本の万年筆製造会社として見逃せない存在であったことがうかがわれます。

吉野製作所の自社ブランドは「オーテ万年筆」。万年筆ファンの諸先輩方におかれましては、この名をご存知のかたは多いかもしれません。

私たちを迎えてくださったのは、
店長の吉野様。そして吉野製作所当時の番頭をされていた冨田様です。

吉野様は吉野製作所・創業者の娘様です。
つまり、吉野様が生まれた時から目の前に沢山の万年筆が存在し、
万年筆が筆記具の主役だった当時の、
「オーテ万年筆」製造のにぎわいを肌で感じてこられたかたです。

吉野様は万年筆職人ではありませんが、子供の頃から万年筆と接して
おられていたはずで、私が持っていったペン先不良の万年筆を
ほんの短時間で良品に変えてしまいました。

冨田様はそれこそ万年筆の職人。
軸の製作から最終工程まで、すべてを身に付けておられるかたです。
控えめに吉野様を立ててお話をされていましたが、ペン先の話題など
その一言一言はオーテ万年筆の高度な技術力を想像させるものでした。

■ 資料
吉野様にご許可をいただいた資料と、冨田様が撮影した写真を交えて
歴史をさかのぼってみます。
創業者ご夫婦。研究熱心でかつ大胆なアイディアによる宣伝が上手だった主人と、気っ風の良さが魅力という奥様。店内の製品ひとつひとつが気になります。主人が抱いているのは犬ではなく、猿だそうです。
創業者のアイディアの象徴とも言える「万年筆型(!)の吉野製作所本社」(冨田様撮影)。現在の「ペンショップ・オーテ」の建屋が出来る以前は、これがあったとのこと。巨大万年筆が出来上がった当時の、豊橋市街の人々の驚きはただならぬものだったに違いありません。この中で「オーテ万年筆」はフル稼働で生産。冨田様が「食事をする時間も無いほど忙しかった」と当時を振り返っておられました。
■ 万年筆の本質
今回の訪問は、万年筆の本質を知りたいという私からのリクエストに
氷川様が事前に調査し、紹介してくださったのがきっかけです。

私は「万年筆は周りの人々が言うよりも簡単なものかもしれない」と思う一方で
「万年筆は自分が思っているよりもはるかに難解なものかもしれない」と
考える時もあり、ふたつの疑問に自然体で答えてくれる人を探していました。

写真左:ペンショップ・オーテ入口にて吉野様と。

写真右:ペンショップ。オーテを背景に冨田様。

そして信頼文具舗のページをご覧ください。
信頼文具舗とペンショップ・オーテ様とは、相互協力をする事となりました。

この決定と私のこれからの勉強により、
「オーテ万年筆」の素晴らしさを皆様にお伝えできたらと思います。
そして信頼文具舗にとっては、
万年筆関連サポートの目に見える部分・見えない部分の両方について
すこしずつ充実度が増すのではないかと自身で期待しております。

■ 追記(2006年6月28日)

最初は地味なアウトプットかもしれないけれど、
何かが始まるワクワクした気持ちでおります。

「ペンショップ・オーテ」さんは 愛知県豊橋市呉服町47 TEL:05-3252-5513

いまは街の皆さんに愛される、こじんまりとした筆記具・文房具屋さんです。
私はお会いして元気をいただける、吉野様のお人柄が大好きです。
ご本人のご了解を得て電話番号を掲載しますが、
吉野様のご迷惑にならないよう、お気遣いのほどよろしくお願いします。

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