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SPRG Review コクヨ鉛筆シャープTYPE-S

  
コクヨから「ほほう!」と思うシャープペンシルが出ていました。
「鉛筆シャープTYPE-S」です。  
  
コクヨ鉛筆シャープTYPE-S単体俯瞰
  
当たり前ですが、すでに筆記具類は充分足りている私ですので、市場調査等の仕事でもない限り文房具店の筆記具売り場を「あさる」ことも少なくなっています。けれども本屋さんに立ち寄ることはたびたびなので、ちかごろは文房具売り場を併設するお店も増えているものですから、書店のほうが新しい文房具に出会う機会が多いという事態になっています。  
  
今年の1月。帰省先にあった大型ショッピングモール内の書店でエンド展開(=商品棚の一番手前の目立つ場所で行われる企画型特販)されていたのがコクヨの学習向け用品でした。キャンパスノートと筆記具がゴソッと並んでいました。  
  
コクヨの公式サイトをご覧頂くと分かるとおり、コクヨの筆記具ってそれほど種類は多く無くて…。最近では軸表面にソフトな仕上げが施された、三角断面の本体軸を持った「鉛筆シャープ」が一部で話題になっていました。けれどもこれは書きかた鉛筆的な、かなりお子様向けの仕様だったので、申し訳ないけど試したあとすぐに人にあげてしまいました。今回のTYPE-Sは同じ「鉛筆シャープ」の名を冠してはいるものの、大人でも使ってみたい外観になっています。気がつくと手に取ってレジに並んでいました。価格は税別300円位です。  
  
コクヨ鉛筆シャープTYPE-S俯瞰  
  
なにかに呼ばれるように買ってしまった本品。パッケージから取り出し、グリップしてノックして書いてみて、「いやいや、これはイイかもしれない。」とか「いやいやいや、これは結構凄いかもしれない」などと、心の中でしゃべりながら気持ちがどんどんと高まってまいりました。とにかくイイところ、いっぱいあるのです。
  
■ 製品  

TYPE-Sには、0.7mm/0.9mm/1.3mmと3つの芯径が用意されています。今回は私がひごろ重宝に使っている芯径:0.7mmを選びました。  
  
まずグリップ。上部は本体軸と同じ直径の円形であるものが、ペン先に向かうにしたがって徐々に六角形に変化してゆきます。私の持ち方ですと、ペン先の位置を確定する人さし指と中指が六角軸の平面に「着地」し、しっかりとした筆記が可能でした。いっぽうグリップの上部は本体軸とほぼ段差無くつながってゆき、手に馴染みやすくなっています。グリップの見た目は、いたずらにエルゴノミック風を煽ることのないスッキリとしたもの。ここ大切です。  
  
コクヨ鉛筆シャープTYPE-Sペン先部分
  
本体軸は直径10.5mm。最近「太軸化」が進んでいるボールペンと比べれば控えめな直径ですが、シャープペンとしては太いほうです。筆記具の持ち方のトレーニングを必要とするお子さんが使うのにも充分な太さである一方、大人が使っても太すぎない、ころあいの良い寸法と思われます。  
  
その10.5mmの直径を全長14mmでキュッと絞る短めの口金からは、ワンノックで3.2mmのガイドパイプが現れます。持ち運びではガイドパイプを格納でき、筆記の際には細身のガイドパイプが筆記部周辺の視野を確保する仕掛けです。またガイドパイプは筆記時は固定されている、つまり芯の減り具合に合わせてスライドをしない方式なので、グリップした手指と芯先の距離の変動が最小限に抑えられ、書きかた鉛筆としての役割をしっかりと果たしています。個人的にも「適度な長さのガイドパイプは欲しいが、芯の減りにしたがってスライドしない」タイプが好みなので、この製品は有り難いものです。  
  
さきほど、わざわざ「短めの口金」と言及したのには訳があります。お子さんが使うのでしたらグリップを握る手指の先端から芯先までの距離はできるだけ短いほうが良いのです。シャープペンの側で短くも長くも持てるようにデザインしておけば、そのぶん使い手の持ち方の自由度が高まるからです。  
  
コクヨ鉛筆シャープTYPE-S消しゴム部分
  
こんどは反対側、ノック部の周辺について。ペンクリップと一体化したノックボタンは26mmと長いもの。写真のとおり、この中にはスティックタイプの消しゴム(プラスチック字消し)が収納されていて、後端のリングを回すことでその出し入れを調節出来ます。消しゴムは使わない時にはノック部に完全収納できます。装着される消しゴムは直径11mm強の太めのサイズで実用的。本記事執筆時点ではスペア消しゴムもカタログに載っています。  
  
なにより、気持ちが良いのがノックした時の感触です。スムーズかつたっぷりとしたストロークで「押され」て、ノックの所作を通じてちょっとした気分転換にもなりえます。ノックの動作音が小さいのも美点です。  
  
■ 筆記してみて  
書いてみましょう。サクサクッと2回、気持ち良くノックボタン押すとガイドパイプと芯が現れます。ガイドパイプは先端部分を指の腹でグリグリするとほんのわずかにブレますが、太めの0.7mm芯をハンドリングすることを考えれば問題にならない程度です。むしろ、0.7mm芯の筆記に必要な筆圧をガイドパイプが(見かけによらず)しっかりと受け止めていて安心の筆記が実現しています。  
  
グリップ部の位置と形状のおかげで、筆記具の先端に近いところまで軸をつかめて、ペンを立てたり寝かせたりユーザーによって任意の書きかたが可能です。0.7mm芯ゆえ(=筆記に従って生じる芯先の偏摩耗による、書き味への影響が大きいため)、ときどき本体軸を少し回したいところですが、自分の場合はペンクリップの先端が少々手に当たりました。あと3mmでもペンクリップの位置を調整してもよかったかもしれません。ああ、お子さんの小さい手なら問題が無いということですね。 
  
コクヨ鉛筆シャープTYPE-S筆記時の様子  
  
お子さん、特に小・中学生が使うならばということでひとつ気になったのは、TYPE-Sは軸の全長が長すぎてノックボタンへ指を伸ばすのが大変ではないかという点です。本件については最初、消しゴム内蔵の長いノックボタンがアダになっているのかな?と思いました。  
  
ここでひとつのシャープペンを思い出しました。ファーバーカステルの「グリッププラス」です。こちらも0.7mm芯を採用し、グリップから芯先までの距離を短く持つことができ、お子様にも使いやすいと信頼文具舗でご紹介してきた製品です。  
  
ファーバーカステル・グリップブラス・シャープペンシル  
  
この製品、口金の質感やノックボタンを押した時の感触がTYPE-Sとそっくりなのです。ファーバーカステルはドイツの銘柄ですが、グリッププラスは日本からのOEM(相手先ブランド供給品)と言われています。もしかしたら同じところで作られているのかもしれません。  
  
グリッププラスは、実はノック部分にTYPE-Sの2倍近い長さの消しゴムを内蔵しているのです。それにも関わらず軸の全長はTYPE-Sよりも7mm短くなっています。  
  
鉛筆シャープTYPE-Sとグリッププラスの消しゴム比較  
  
両者には、軸の太さや各パーツの構成そして値段まで大きな違いはあるものの、TYPE-Sのパーツの形状や寸法配分などを工夫することで、もう少し全長を短くしてノックボタンを押しやすい製品にできたのかもしれません。  
  
■まとめ
少しネガティブな事を書いてしまいましたが、雑音的要素の少ないシンプルなスタイル、かつしっかり安心して使えるTYPE-S。0.7mmシャープペンの良い仲間が増えて、ユーザーとしておおいに歓迎です。  
  
でもやっぱり、もうひとつ言わせてください。この製品にはなにか「色気」が足りないようです。いえ、派手な色の部品を使えということではありません。たとえ安価なものであっても、手元に置いておきたい、もっと言えば愛したくなるような、あとなにかひとつでも備えてくださいといった欲が出てまいります。  
  
コクヨ鉛筆シャープTYPE-Sとクレールフォンテーヌのノート
    
使いやすい筆記具をデザインした・メーカーに発注した・いい具合に出来上がったという手順は完璧にこなされたと思います。しかし本体軸の樹脂のラメっぽい少々不穏なマダラ模様・シルク印刷の追い込み・そしてなんとなくどんよりとした佇まい。ミニマルとか黒子とか、なにかのデザイン言語に沿って作られたのであればそっと教えて頂きたいところですが、個人的には「安価な製品とは言え、あと一歩」かなと。  
  
本品を通じて「もっとコクヨ製品を使ってみたい」と思わせるパッションを生むことは出来ないかな。周りの人がひとめ見ただけで「私も使ってみたい!」と思わせるものを追加できないかな。これと比べたら、海外製の普通の鉛筆のほうがパッションにあふれています。安価なシャープペンで「チープシック」な製品だっていっぱいあります。TYPE-Sの素晴らしい素質を基に、次なる発展を期待しています。  
  
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