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sprgレビュー追記・オレンズとオレンズネロ

  
今年2月、「ぺんてる・オレンズネロ」のレビューを公開したところ、おおぜいの皆様からのご参照を頂きました。ありがとうございました。

そのレビューについては書き足りないことがあり、補足をしなければと思っていたのですが、早いもので4ヶ月近くも経ってしまいました。今回は「その後のオレンズネロ」ということで書いてみます。  
  
オレンズとオレンズネロ  
  
オレンズネロについて私の満足度は入手当時と変わりなく、出張先にも持ち歩いているほどです。いっぽう普通のオレンズもデスクにて第一線で活躍中です。つまり、それぞれに独自のメリットがあるということです。もっと言えば、私にとってオレンズとオレンズネロは全く別の製品という認識になっています。  
  
ではどこが違うのか。デザインや使用部品のグレードは関係ありません。芯先周辺の仕組みにあります。  
  
まず、オレンズネロが登場する以前のオレンズシリーズ(以降「無印」とします)は、ノックボタンを1回押すと、芯とガイドパイプが同時に口金から出てきます。筆記を開始すると、芯は筆記による減りで、ガイドパイプは芯が減ったことによる用紙との接触によって、それぞれ口金に収容されてゆきます。
ここで大事なのは、筆記時においては芯とガイドパイプは互いに機構的な関わりが無い点です。ガイドパイプは紙面に押されたら押された分だけ口金に収容されてゆくのです。
このため、手指で筆記角度を調整するなどして意識的にガイドパイプを押し、中の芯を余分に「はだけさせる」ことも可能です。ガイドから芯がほんの少し多めに露出し、あまりガイドパイプが紙面に擦れることなく筆記を進められます。  
  
なお、芯がガイドパイプにほとんど覆われていても、筆記具を無理の無い範囲で出来るだけ立たせ、筆圧をできるだけ小さくし紙面を「滑走」ではなく「滑空」させるくらいの気持ちで書くこと。それとあまり筆圧を掛けなくても芯の黒鉛が紙面に定着しやすく、紙面に芯やガイドパイプがハマりにくい用紙を選べば、ネロ・無印を問わず、0.2mm芯で快適に筆記は出来ると思います。  
  
オレンズとオレンズネロの先端部
オレンズネロ(左)とオレンズ(右)
  
  
対するネロは、ガイドパイプと本体軸内部の芯繰り出し機能とが筆記時にも機構的に連動しています。筆記によって芯が減り、ガイドパイプが紙面に触れて口金方向に押されると、内部の機構が芯を繰り出すという巧妙な仕組みになっています。この仕組みによって折れやすい極細の芯は常にガイドパイプによって守られ、またノックボタンを押すこと無しに、替芯の残りの長さが続く限り筆記を継続出来るようになっています。  
  
ただしその機構ゆえ、ガイドパイプを芯先方向へ押し出そうとする一定のテンション(=応力)がガイドパイプに掛かっています。結果、筆記の際にもガイドパイプがすっぽりと芯を覆っていて、ほぼ常時ガイドパイプが紙面に接触する状態となり、用紙の種類や筆記角度によっては書き味を損ねる時があります。  
  
  
私が常用している0.2mm芯についてのみの言及になってしまいますが、ここでオレンズのメリットをいまいちど挙げてみます。(ア~ウの詳細はレビュー本編をご参照ください。)

ア:0.2mm芯で極小サイズの文字を筆記できる。
イ:0.2mm芯による「芯の存在感」を最小限にした書き心地。
ウ:0.2mm芯を使っていながら、紙面の荒れた用紙でも芯折れしにくい。

この3つについては、無印もネロも実現をしています。そしてネロの登場によって四つ目のメリットが実現しました。

エ:ノックボタンを押さないでも書き続けることができる。
  
無印は一定量筆記して芯(とガイドパイプ)が口金に収容されてしまったらノックボタンを押さなければなりません。芯がどれだけ減ったか、あるいは芯がガイドパイプから適量出ているかなど、時々目視確認もしています。いっぽうのネロはそうした一連の操作や確認をまったく無しに、替芯1本の長さぶん、延々と書き続けることが出来るようになりました。

しかし、「エ」の獲得のために、紙面にガイドパイプが接触しがちになったのが「エ」と引き換えに生まれたデメリットと言えるでしょう。
「あちらを立てばこちらが立たず。」・・・文房具や工具類のこうしたトレードオフの関係はどこでも起こりうることながら、人によっては特段気になるという評価にも理解出来ます。そこで、だからこその使い分け、使いこなしになるのでは?というのが本日の「落としどころ」です。
  
  
私の場合、無印は小さいノート(MOLESKINE JAPANESE POCKET ALBUM)にチマチマと小さい文字で備忘録を付けるのに使っています。

MOLESKINE JAPANESE POCKET ALBUM
  
厚手のJAPANESE POCKET ALBUMの用紙には、しっかりした筆跡を残そうとするとネロの芯やガイドパイプが食いついてしまうので、無印のようなガイドパイプがスルッと後退してしまうタイプのほうが少し快適に書けるのであります。わずかな違いなのですが。  
  
ネロはなんと、執筆物の下書きに大活躍中です。マックでもポメラでも万年筆でもありません。私はネロの0.2mmを使っていると、疲れることなくずっと文章の下書きが出来るのです。無印の時のようなノックボタン操作も、その操作を誤って発生する芯折れもありません。  
  
ネロを快適に使用するポイントは用紙にあります。マルマンのクロッキーノートに極めて軽い筆圧で筆記しているのです。筆圧が軽くても、マルマンクロッキー(用紙コード:MPS-C 用紙色:白)の、適度に凹凸のあるサラサラっとした用紙表面が0.2mm芯を具合良く削り取り、極細ながら明瞭な描線を紙面に残せます。用紙が薄手かつ筆圧は最小限なのでネロのガイドパイプと用紙との干渉は最小限度に抑えられます。またクロッキー用紙のサラサラした紙面を芯先が滑走する際の感触が指先にフィードバックされるのも気持ちが良いものです。  
マルマンでしたら個人的にはニーモシネがご贔屓のノートですし、描線の明瞭度(細く、かつクッキリ)はニーモシネのほうが上ながら、筆記時の芯先の抵抗感はクロッキーのほうが若干小さいと思われます。またクロッキー用紙の白色度の高さも大事です。

マルマン・クロッキー 
マルマンのクロッキー+オレンズネロ。いつまでも文字を書き続けられる組み合わせ。
  
私にとって、ネロが実現した「エ」の効果は大です。ノックボタンを押すことが、どれだけ思考の妨げになっていたのか、自身でも驚いている状況です。  
  
マルマンクロッキーとオレンズネロ
  
幸い、私にはオレンズネロ(0.2mm)が良き道具となってくれました。得られた効果を思えば安い買い物でした。けれども、これが誰にでも受け入れられるシャープペンかと聞かれると即答は出来ません。お小遣いでまかなっている学生さんにとってネロの価格は高額な部類ですし、そのわりにはオールマイティーなシャープペンとは言いがたいところがあります。  
  
ということで、本編の繰り返しも含みますが  
  
・オレンズを使ったことが無い人は、まずは無印それも一番安価なモデルでの体験を。
・0.2mm芯に合わせた用紙の選択や書きかたを身につけて。
・ネロ購入にあたっては自動芯出し機能のトレードオフを理解して。  
  
を今回のまとめとします。  
  
 

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