ステーショナリープログラム 2006年11月27日
■ 万年筆スタイル
株式会社ワールドフォトプレスから「万年筆スタイル3」、出ました。
万年筆スタイル3の表紙写真
ワールド・ムック629「 万年筆スタイル3 」

株式会社ワールドフォトプレス
ISBN4-8465-2629-1 C9472 ¥1524+税

毎回「予想外」な切り口が楽しみな「万年筆スタイル」。
今回のメインテーマは「未来行き万年筆」とのことで、、、そう来ましたか。

カメラ界から田中長徳氏が登場したり、私がずっと知りたかった久保工業所・
久保幸平氏の取材がされていたりと、「おっ!」と思う特集記事多し。

詳細はご覧いただいてとなりますが、読み物として充分満足。
市浦潤氏所蔵の珍しい海外万年筆の広告資料が多数公開された
「広告に見る・在りし日の万年筆」もお確かめください。

「ムック、また出たか!」と、あなどるなかれ。
過去・現在・これからと、重ねて楽しめる、けっこうな「保存版」。

万年筆の本なのに、なぜか私もマルチペンの特集で少し顔を出しています。
周りのレベルの高い記事を見渡すと、いいのだろうか?と恐縮です。
でもでも、筆記具を評価点付きで紹介した珍しい試みにトライしています。
(このあたりのエピソードについては次回にでも。失敬。)

記事分類は「B−1」です。
■ エピソード。いや、言いわけ。
ステーショナリープログラムをご覧いただきありがとうございます。

先日発刊の「万年筆スタイル3」の、マルチペン特集のエピソードです。
ワールドフォトプレスさんに見つかったらダメ出しされちゃうかも
しれないので、私が消さないうちにお読みください。笑

万年筆のムックになぜマルチペンを?というのは、お声がけいただいた私も最初は?でした。でもふり返れば万年筆スタイル「1」や「2」でも万年筆以外の新しい企画は沢山行われておりましたので納得。自由度を高くしておくのは新しい発見も多いですし、大切な事です。

で、なぜ今回私なのか。それは、今後への実験的取り組みのひとつではなかったかと勝手に思っております。一般にムック(不定期刊行誌)は、良い紙質のフルカラーページと美しい写真という「基本仕様」を備えているので、いくつかの企画特集以降は各メーカーの製品写真をズラリとならべ、豪華なカタログを作ることが容易です。ムックをバイヤーズガイドであると期待している読者も多いことでしょうから、カタログページのニーズも高いはずです。

想像ですが、そうしたニーズがあってカタログ風ページを作るとしても、製品とスペックを並べるだけにはしたくない、と考える編集の人も居られることでしょう。それならば、カタログページに新しい何かを導いてあげれば、情報の価値が高まるかもしれません。

情報の価値を高める、すなわち信頼度を向上させるには、自動車雑誌のように「記事にメリットもデメリットも両方紹介する」手法が挙げられます。おそらくそのような背景から私が呼ばれたのかな?と思っています。じっさい、打ち合わせの段階で編集担当者さんはとても理解を示してくださり、いつもの感じでストレス無く、良い所・悪い所を明示した記事を書くことができました。

しかし、予想はしていましたが、最終段階でメーカー&代理店様からのチェックはいくつか入りました。私の調査不足で事実とは違う事を書いた場所や、言い回しに配慮が至らなかった部分については素直に「ごめんなさい!」と訂正するとして、そのほかで自分が「ここを譲るともったいないなあ」と思った数ヶ所についても、丸めた表現にしました。妙に借りてきたネコな表現のところ。要するに私らしくない所は、たぶんソレです。

メーカー様への熱い期待を忘れることなく、「良い」・「悪い」の表現バランスをちゃんと考えて、ひとつひとつの製品を丁寧に紹介したつもりが、「悪い」部分だけを指摘されてしまう時は少々残念。でも小さいウェブサイトとは違ってメジャーな紙面では、誤解が生じた場合の影響は大きいですから、致し方の無いところとも言えます。結果、7割の部分で新しい取り組みができたと思います。

このあたりの事を自動車雑誌界に照らし合わせると分かりやすくなります。あちらの世界では実力のある方々が長い年月をかけて評論され実績を作られておりますので、メーカー側にも読者にも目に見えない一定の「下地(事前認識)」が確立しています。文房具界はまだそういったものがあまり無いと思いますし、自分自身、正しく評価できるよう勉強しなければいけない部分でもあります。これから優秀な方が出てこられてベースになるものを作り上げていただけたらと願っております。(私は半分コシが引けてます。ウェブでは大したことではない事も紙面はやっぱり怖いなーと思います。)

もうひとつ。今回の特集では、さりげなく「三段階評価」のマークが付いています。ステーショナリープログラムでもカタクナにやらなかった、評点です。編集担当者さんの「ぜひ」に乗せられての所業です。でもここだけはステーショナリープログラムの厳しさに準拠して、紹介製品のほとんどがオール1になっている、知らない人が見たらびっくりの評点になっております。いろいろすみません。

と、何十行もの長い言いわけになってしまいました。とにかく今回の成果、それはこの特集のページと、そのほかのカタログページとを較べてもらえれば、少し分かっていただけるかもしれません。