コラム「前向き↑文房具」
第3回:「引き立て文房具とは?」
きょうは私が心がけている考え方をお教えします。
それは「引き立て文具」というものです。
筆記具やノート・手帳類をデスクに並べたり持ち歩くとき、なにかひとつの製品を添えて、あるいはひとつ別の製品に替えて、全体の見た目が一段引き立つように演出させる、その要(かなめ)となる製品を「引き立て文具」と定義してみました。
「引き立て文具」の主な手法と期待される効果は次のようなものです。
A:製品群のカラーバランスやコントラストを調整して
見映えを高める。
B:木や皮革などの天然素材、金属などの非樹脂系素材
を加え、質感の向上やグレードアップをはかる。
C:高額なもの・価値のあるもの・ヴィンテージ品など
を添え、全体の見た目の安っぽさを払拭したり、
ストーリー性を加えたり、あるいは時間的な深みを
連想させる。
すでに皆さんも引き立て文具を使っています。たとえばノートカバーやペンケース等が該当します。単純にノートや筆記具を持ち歩くのではなくノートなら本革などのノートカバーにセットすることで製品の見た目のグレードが上がり、ひいてはそれが、持ち主の「ひととなり」を表現する良き小物になりえます。
ブログやSNS等、Webページの写真で文房具を始めとする各種製品類を紹介する時にもこの考えを導入することができます。
例えば、ノートひとつだけを撮るよりも、筆記具を添えることで単調になりがちなノートの絵図に立体感が出ます。また筆記具の選定によって、ユーザーに対し「このノートをどのように使って欲しいのか」を言葉での説明無しに指し示すこともできます。
金属質の筆記具が主役のとき、木質素材のものを添えると画面に暖かみが出ます。また筆記具の質感が少し引き立ちます。
そして私がこの「引き立て文具」という考えに思い至ったきっかけは次の製品です。材料そのものが味わい深い赤色に染められた素朴な鉛筆と、少し枯れた真鍮製のキャップの組み合わせです。このセットが1本、他の製品の中に加わりますと手持ちの文具が大人っぽく華やかになります。
最後に応用編。この写真をご覧ください。2009年の拙著「文房具の足し算」のために自分で撮影した写真の1枚です。この中で私が意識した引き立て文具は何だったのか、お分かりになりますか?
答えは左側約3/5の面積で敷いてある大きなグレーのファイルです。このファイルがブラックやホワイトの要素に「モノトーンの階調」をひとつ加えています。それと同時に各製品が持つ鮮やかなパーツを一段落ち着かせ少しだけ知的な雰囲気にさせる効果も狙っています。…ここで学べるのは引き立て文具だからと言って必ずしもそれが鮮明な色とは限らないということです。
いかがでしたでしょう。持ち物での、あるいは写真の中での引き立て文具という考え方。この言葉は私の造語です。お使いの場合にはひと言お声掛けください。私からもご協力ができるかもしれません。
☆ご参考☆
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